研究会報告 研究授業「J-POPとペンタトニック」
千葉市立都賀中学校「J-POPとペンタトニックー「香水」のしくみでオリジナルのメロディをつくろう」に参加して
エリザベト音楽大学音楽研究科 黄夕珈
開催日:2022年11月11日
場所:千葉市立都賀中学校
2022年11月11日(金)、千葉市立都賀中学校に伺い、「創造的音楽学習」を実践する授業見学の機会をいただきました。 授業タイトルは「J-POPとペンタトニックー「香水」のしくみでオリジナルのメロディをつくろう」、指導はヴァイオリン演奏南條由起先生,キーボード演奏木下和彦先生,ベースとチェロ演奏中村昭彦先生と、授業担当の中村奈緒美先生でした。対象は中学校2年生4クラスです。
授業は、演奏実演と理論そして音楽づくり、の3部から構成され、まず先生方による演奏(日本の曲2曲、外国の曲2曲、日本のポップス3曲)がおこなわれました。続いて、音楽理論を簡単に復習し、『香水』の断片を取り上げて音楽的特徴と旋律を分析、最後に生徒たちがSong-Makerを使用して音楽づくりに取り組みました。完成した音楽は周りの生徒と一緒に聴きあい、確認・修正などを加えて提出され、そのメロディを元に3名の講師が即興合奏を披露しました。
今回、音楽教育の現場に参加して、私は大きく感銘を受けました。この中学校では、2年⽣の4クラス全員が⼩学校から⾳楽づくりの授業を受けており、「⾳楽の特徴」や「動機」といった用語の意味を、教師が時間をかけて説明しなくても⽣徒が理解していたことは驚きでした。また、授業で使⽤するアプリを⽣徒全員が使いこなしているため、⾳楽の授業が非常にスムーズに進んでいるようにみえました。そして何より、授業担当の中村奈緒美先生による、前回の授業の結果や生徒からの反応をもとに、授業で使う言葉や各セッションの時間、黒板の内容などを調整し、生徒が理解しやすい授業の組み立ては素晴らしいものでした。
現在、四川省の中学校では、授業時間の多くを国語、数学、英語などの受験科⽬が占めています。しかし、芸術科目には⼩学校と中学校の学びの連続性など、これからより良く発展させていくための課題があり、取り組んでいます。特に今回のような実演は、音楽の魅力を知るとても良い機会であり、生徒にとって非常に大切な音楽体験であると思いました。 実際、授業後に楽器に興味を持った生徒が講師の先生のところに行き、「もっと弾いてほしい」と言う姿を見て、これこそ音楽を広める一番良い方法ではないだろうかと思いました。
今回の授業に参加して、四川省の中学校の⾳楽教育の現場と⾳楽づくりの現状には、発展・進歩の余地があると強く感じました。改めて、この貴重な機会をくださった坪能由紀子先生、中村奈緒美先生、指導の諸先生方に心から御礼申し上げます。